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医療DXとは?メリット・デメリットや具体例をわかりやすく解説

医療システム

医療DXとは?メリット・デメリットや具体例をわかりやすく解説

医療DXとは?メリット・デメリットや具体例をわかりやすく解説

アイ・エス・ビーのコラムへようこそ。
記念すべき第1回は、アイ・エス・ビーの注力している分野の一つである医療DXについてご紹介します。
医療DXについて、その概要から具体的なメリット、注意点までをわかりやすく解説します。
医療DXとは、デジタル技術を活用して医療サービスや業務プロセスを変革することです。
この記事では、医療DXの必要性や政府の取り組み、オンライン診療などの身近な事例を簡単に紹介し、医療従事者や経営層が知っておくべき情報を網羅的に説明します。


そもそも医療DXとは?

医療DXとは、デジタルトランスフォーメーションを医療分野で実現することを意味します。
単にITツールを導入するデジタル化とは異なり、データとデジタル技術を用いて、医療の提供体制、業務プロセス、そして患者体験そのものを根本から変革し、新たな価値を創出することがその定義です。
これには、診療の効率化だけでなく、予防医療の推進や個別化医療の実現も含まれます。


なぜ今、医療DXの推進が必要とされているのか?

医療DXの推進が急がれる背景には、医療業界が直面する深刻な課題があります。
人材不足や長時間労働といった労働環境の問題、他業界と比較して遅れているデジタル化など、解決すべき点が山積しています。
これらの課題を克服し、持続可能な医療提供体制を構築することが、医療DXの大きな目的です。
政府も2023年以降、医療DX推進本部を設置するなど、国を挙げてその必要性を訴えています。


深刻化する医療現場の人材不足

少子高齢化に伴う労働力人口の減少は、医療現場においても深刻な人材不足を引き起こしています。
特に、専門的な知識と技術が求められる医師や看護師の不足は、地域医療の維持を困難にさせかねない状況です。
医療DXは、テクノロジーを活用して業務の一部を自動化・効率化することで、この問題に対する一つの解決策となります。
例えば、務作業や情報管理をデジタル化すれば、限られた人員でも医療従事者が患者と向き合う時間をより多く確保できるようになり、医療サービスの質の維持・向上に貢献します。


他の業界から遅れているデジタル化

医療業界は、生命に関わる情報を扱う特性上、情報の取り扱いに慎重さが求められるため、他の業界に比べてデジタル化の進展が遅れてきました。
今もなお多くの施設で紙の書類による情報管理が行われており、例えば薬剤師との情報連携やMRとのやり取りにおいても、非効率な側面が残っています。
このような状況は、情報の共有を妨げ、業務の迅速性を損なう原因となります。
他業界のDX成功事例を参考にしつつ、医療分野に特化したデジタル技術の導入を加速させることが急務です。


医療従事者の長時間労働の常態化

人材不足や業務の複雑化は、多くの医療従事者が長時間労働を強いられる一因となっています。
煩雑な事務作業や院内での情報共有に時間がかかり、本来の専門業務に集中できないケースも少なくありません。
医療DXの導入は、こうした課題を解決するメリットをもたらします。
例えば、電子カルテや予約システムは事務作業を大幅に削減し、コミュニケーションツールは多職種間の連携を円滑にします。
これにより業務負担が軽減され、労働環境の改善と働き方改革の推進が期待されます。


医療DXを導入する3つのメリット

医療DXの導入は、医療機関に多くのメリットをもたらします。
主な利点として、業務効率化による医療従事者の負担軽減、データ活用による医療の質の向上、そして災害時などにおける事業継続性の強化が挙げられます。
これらのメリットを最大化するためには、導入に伴うセキュリティリスクやコストといったデメリットも理解し、計画的に取り組むことが重要です。
ここでは、DXがもたらす3つの主要なメリットを解説します。


業務効率化により医療従事者の負担が軽減される

医療DXは、医療現場の業務を効率化し、従事者の負担を軽減します。
その例として、電子カルテの導入が挙げられます。
これにより、手書きのカルテ作成や保管、検索にかかっていた時間が短縮され、情報の院内共有もスムーズになります。
また、AIを活用した問診システムは、患者の症状を事前に整理して医師に提供するため、診察時間の効率化に貢献します。
さらに、Web予約システムの導入は、電話応対の業務を削減し、スタッフが他の重要な業務に集中できる環境を整えます。


質の高い医療サービスを患者へ提供できる

医療DXは、患者への医療サービス向上にも直結します。
例えば、電子カルテや地域医療情報連携ネットワークを活用することで、病院、クリニック、薬局といった異なる施設間で患者の診療情報や薬剤情報を正確に共有できます。
これにより、重複した検査や投薬を防ぎ、より安全で適切な治療の提供が可能になります。
また、オンライン診療やPHR(個人の健康記録)を通じて、患者自身が健康管理に参加しやすくなり、予防医療や個別化されたケアの実現にもつながります。


災害時などでも事業を継続しやすくなる(BCP強化)

医療DXは、災害やパンデミックといった非常時における事業継続計画(BCP)の強化に大きく貢献します。
従来、紙で管理されていたカルテやレントゲンフィルムは、火災や水害などの災害で失われるリスクがありました。
しかし、これらの情報を電子化し、クラウドサーバー上に保管することで、物理的な被害からデータを保護できます。
万が一、医療機関が被災した場合でも、バックアップされたデータにアクセスできれば、迅速な診療再開や、避難先での適切な医療提供が可能となります。


医療DXを導入する際に注意すべき3つのデメリット

医療DXは多くの利点をもたらす一方、導入にはいくつかの課題やデメリットも存在します。
特に、機密性の高い医療情報を取り扱うため、情報漏洩のリスク対策は最重要課題です。
また、システムの導入や維持にかかるコスト、そして職員や患者のITスキルといった問題も無視できません。
厚生労働省が示すガイドラインなどを参考にしながら、これらの課題に事前に対処することが、DXを成功させる鍵となります。


情報漏洩のリスクに対応するセキュリティ対策が必須

医療情報のデジタル化は、サイバー攻撃や内部からの不正アクセスによる情報漏洩のリスクを高めます。
患者の病歴や遺伝情報といった極めて機微な個人情報を取り扱うため、一度情報が流出すれば、医療機関の信頼は大きく損なわれます。
そのため、医療DXを進める上で、堅牢なセキュリティ基盤の構築は不可欠です。
ファイアウォールの設置やデータの暗号化、アクセス権限の厳格な管理といった技術的な対策に加え、全職員を対象とした定期的なセキュリティ研修を実施し、組織全体で情報保護に対する意識を高める必要があります。


システム導入や運用にかかるコスト負担が大きい

医療DXの推進には多額の費用が必要となる点が大きな課題です。
電子カルテシステムやオンライン診療ツールなどの導入には高額な初期投資が求められます。
さらに導入後もサーバーの維持管理費、ソフトウェアのライセンス更新料、システムの保守運用を担う人材の確保など継続的なランニングコストが発生します。
特に経営基盤が脆弱な中小規模の医療機関にとってこのコスト負担は導入をためらう大きな要因となり得ます。
そのため国や自治体が提供する補助金制度の活用や費用対効果を慎重に見極めた上での段階的な導入が求められます。


医療従事者と患者双方のITリテラシーが求められる

医療DXを円滑に進めるためには、医療従事者と患者の双方に一定のITリテラシーが求められます。
医療従事者側では、新しいシステムやデジタルツールを効果的に活用するスキルが必要です。
導入当初は操作に不慣れなため、一時的に業務効率が低下する可能性もあり、十分な研修期間と手厚いサポート体制を整えることが重要になります。
一方で、オンライン診療やWeb予約といったサービスを利用する患者側にも、スマートフォンやPCの基本的な操作スキルが要求されるため、高齢者などデジタル機器に不慣れな人々への配慮が不可欠です。


医療DXの身近な具体例

医療DXは、すでに私たちの身近なところで活用が進んでいます。
例えば、スマートフォンやPCを使って自宅から診察を受けられるオンライン診療は、多くの人が利用するようになりました。
また、医療機関のウェブサイトから診療予約を行ったり、事前に問診票を入力したりする仕組みも普及しています。
これらのサービスは、患者の利便性を高めると同時に、医療機関の業務効率化にも貢献しており、医療DXが具体的に社会へ浸透していることを示しています。


スマートフォンやPCからできるオンライン診療

オンライン診療は、患者が医療機関へ足を運ぶことなく、スマートフォンやPCのビデオ通話機能を利用して医師の診察を受けられるサービスです。
通院にかかる時間や交通費の負担がなくなるため、特にへき地や離島に住む人々、身体が不自由な高齢者、多忙なビジネスパーソンなどにとって大きな利点があります。
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに規制が緩和され、利用可能な疾患の範囲が広がりました。
診察後は、処方箋データが希望する薬局に送付され、自宅で薬を受け取ることも可能になるなど、医療アクセスの向上に貢献しています。


待ち時間を短縮するWeb予約・Web問診

多くの医療機関で導入されているWeb予約システムは、患者が24時間いつでも都合の良い時間に、PCやスマートフォンから診療予約を行える仕組みです。
これにより、患者は電話が繋がりにくい時間帯を避けて予約できるほか、医療機関側も電話応対の業務負担を軽減できます。
さらに、来院前にWeb上で問診を済ませておくシステムも普及しています。
事前に症状や既往歴を入力しておくことで、受付での手続きが簡素化され、院内での待ち時間が短縮されます。
この仕組みは、患者満足度の向上と院内業務の効率化を両立させる代表的なDX事例です。


医療情報を一元管理する電子カルテ

電子カルテは、従来紙媒体で管理されていた患者の診療情報をデジタルデータとして一元管理するシステムであり、医療DXの中核をなす存在です。
医師、看護師、薬剤師などの医療スタッフは、院内のどこからでも必要な情報に迅速にアクセスでき、リアルタイムでの情報共有が可能になります。
これにより、部署間の連携がスムーズになり、チーム医療の質が向上します。
また、過去の診療記録や検査結果の検索が容易になるため、より的確な診断や治療方針の決定に役立ちます。
データの蓄積と分析を通じて、臨床研究や経営改善への活用も期待されています。


マイナンバーカードで本人確認を行うオンライン資格確認

オンライン資格確認は、マイナンバーカードを健康保険証として利用し、患者の医療保険資格をオンラインで即座に確認するシステムです。
患者が医療機関の受付に設置されたカードリーダーにマイナンバーカードをかざすことで、最新の保険資格情報が自動で照会されます。
これにより、受付業務が効率化されるだけでなく、保険証の有効期限切れや記載事項の入力ミスといった人為的エラーを防ぐことが可能です。
また、患者の同意があれば、過去の薬剤情報や特定健診の結果を医師や薬剤師が閲覧でき、重複投薬の防止やより質の高い医療の提供に貢献します。


政府が主導する医療DXの主な取り組み

日本政府は、医療分野の課題解決と国際競争力の強化を目指し、医療DXを国家戦略の重要な柱として位置づけています。
その実現に向け、「全国医療情報プラットフォーム」の創設や電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定プロセスのデジタル化といった具体的な施策を推進しています。
これらの取り組みは、全国の医療機関が持つ情報を連携させ、より質の高い効率的な医療提供体制を構築することを目的としています。


全国の医療情報を連携させる「全国医療情報プラットフォーム」の創設

政府が創設を目指す「全国医療情報プラットフォーム」は、全国の医療機関や薬局、介護事業所などが保有する医療・介護情報を、安全な形で連携・共有するための基盤です。
この仕組みが実現すれば、患者はどの医療機関を受診しても、本人の同意に基づいて自身の診療情報や薬剤情報、健診結果などを医療従事者に提示できるようになります。
これにより、救急時や災害時にも迅速かつ適切な医療を受けられるほか、重複検査や不要な投薬の削減、生活習慣病の重症化予防など、医療の質の向上と効率化が期待されています。


カルテ情報を共有するための電子カルテ情報の標準化

現在、多くの医療機関で電子カルテが導入されていますが、その仕様はメーカーごとに異なっているため、異なる医療機関の間でデータをスムーズに交換することが困難です。
この課題を解決するために、政府は電子カルテ情報の標準化を推進しています。
具体的には、傷病名、医薬品、検査項目などについて、国が定めた標準規格やコードを使用することを促進します。
標準化が実現すれば、患者が転院する際や、複数の医療機関にかかる場合に、診療情報提供書などの書類を介さずとも、必要な医療情報が安全かつ正確に共有されるようになります。


診療報酬の算定業務を効率化する診療報酬改定DX

診療報酬は2年に一度改定されますが、そのたびに医療機関のスタッフは、複雑な変更内容を理解し、手作業で院内のシステムに設定変更を行う必要があり、大きな事務負担となっています。
この課題を解決するのが「診療報酬改定DX」です。
この取り組みでは、改定情報を共通の電子ファイル形式で提供し、各医療機関のシステムがそれを自動で取り込めるようにすることを目指します。

これにより、これまで手作業で行っていた確認・入力業務が大幅に削減され、医療事務スタッフの負担軽減につながります。
また、算定ミスの防止にも貢献し、医療機関経営の安定化にも寄与します。


まとめ

医療DXは、デジタル技術を駆使して医療現場が抱える人材不足や業務の非効率性といった課題を解決し、医療サービスの質を向上させるための重要な変革です。
業務負担の軽減や患者への提供価値向上といったメリットがある一方、導入にはセキュリティ対策やコスト、ITリテラシーといった乗り越えるべき課題も存在します。
政府も全国医療情報プラットフォームの創設や電子カルテの標準化などを通じて、この動きを強力に後押ししています。
今後、医療DXの進展は、日本の医療提供体制を大きく変えていくことが予想されます。

アイ・エス・ビーでは、医療業界特有のニーズに応えるため、最新技術を駆使した柔軟かつ高品質なソリューションをご提供します。
長年にわたり培ってきた医療分野における深いノウハウと、自社でソフトウェア薬機認証を取得した経験を活かし、お客様の課題を深く理解し、現場のニーズに合致した開発提案を行っています。
医療DXをお考えの皆様に寄り添い、一緒にお悩みを解決して参りたいと思います。





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